お世話になっております、みこりおです。
ハンドメイドウッドプラグを製作するのであれば、素材は当然に木材です。
ゆえに浸水を防ぐための防水処置、そして木材自体を補強する為、塗装後のトップコートとは異なる、アンダーコート(下地処理)という工程が必要となります。
この作業は後の塗装工程にも影響する非常に重要な工程なのですが…
アンダーコート?
セルロースセメントって何?
ウレタンコートとは違うの??
こうお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私もハンドメイドルアー制作を始めたばかりの頃は、わからない事だらけで右往左往したものです。
なので今回は、
そもそも下地処理・アンダーコートとは?
セルロースセメントってどんなモノ?
必要な材料や道具類
その方法・作業手順
これらについてをお話しします。
これから『ハンドメイドウッドルアーの製作を始めよう!』とお考えの方、『下地作り、アンダーコートって何?』とお悩みの方は参考にしてみてください。
またハンドメイドルアーの作り方のアウトライン、一連の製作工程についてはコチラ⇓の記事をご参考に。
ハンドメイドルアーの下地処理、セルロースセメントにドブ漬けとは?
この言葉自体、聞きなじみがない方もいらっしゃるかもしれません。
『ドブ漬け』とはその名のとおり、液状の被コーティング剤や被メッキ材にそのまま漬け込む工法の事で『ディッピング』とも言います。
また『下地処理』もしくは『アンダーコート』とはウッドルアー製作の際に行う、ボディーの材料である木材にセルロースセメント、という溶剤に溶かした樹脂を浸み込ませる作業の事を指します。
しかしながらアンダーコートという名称が正式な呼び名なのか定かではありません…しかし当記事ではこの名称でお伝えさせていただきますのであしからず。
ウッドルアー製作にアンダーコート、セルロースセメントのドブ漬けが必要な理由
ウッドルアーを製作する訳ですので、ボディーのメイン素材は木材となります。
木材が水分を吸収すると浮力を失ってしまったり、素材が腐食してしまう可能性があります。これらを防ぐために防水処理をする事が求められるのは当然の事でしょう。
また木材はその種類によって差異はありますが、磯への衝突、魚とのファイト中に負荷がかかった際などに割れてしまったり、ヒビが入ってしまったりと破損の可能性があります。その対策としての補強、が求められるのも想像に難くないですよね。
そのための下地作り、それがアンダーコートという工程です。
また次の工程である塗装工程の下地作りにもなっています。
アンダーコート、ドブ漬けに使用するセルロースセメントについて
『セルロースセメント』なる名称はハンドメイドルアーを製作した事がある方、ルアーの補修などを行った事がある方、ならご存知かもしれません。
しかしこれから、『初めてのハンドメイドルアー自作に挑戦したい!』とお考えの方にこそ詳しく知っておいて欲しいので、ここについても少しご説明しておきます。
「セルロースセメント」とはルアー用コーティング剤に販売されている物の名称で、正式名称はニトロセルロースラッカーといいます。
ニトロセルロースラッカーとは植物性繊維の樹脂(セルロース)を溶剤にて溶解するようニトロ化し、有機溶剤にて溶解させたモノであり、有機溶剤が気中に揮発する事によって樹脂が残る(硬化する)タイプのコーティング剤です。
ウレタンと比べると薄い被膜が形成されるのですが、複数回ドブ漬けを行う事で下の層を溶解させながら積層し、厚く、強固な被膜を作る事が特徴。
専用のうすめ液(有機溶剤)を加えて希釈することも可能で、濃度を薄める事で木材に浸み込みやすくなり、アンダーコート剤として使用できる、という訳です。
ルアーをセルロースセメントにドブ漬けする際に必要な材料、道具類
アンダーコートにおいて必要な材料はこの2点だけです。
なお、ここで使用するセルロースセメントは木材に浸み込ますことを目的としているため、希釈してトップコートにて用いるモノよりも薄めて使用します。
このセルロースセメントの希釈率についてなのですが、ネットで情報を検索すると5:5、6:4などさまざまな情報が見つかるでしょう。
メーカーにより濃度(セルロースの含有率)は異なること、どんな木材を使用するか、その時の環境、などによっても最適な解は違ってくると私は考えています。
私は製作に使用する木材の破材をドブ漬けしてみたり、その時のセルロースセメントのたれ具合から粘土を考え、混合比を決定しているのです。
経験や勘によるモノなので、これはご自身で色々と試してもらうしかないかと…
またトップコートの際に「白かぶり」などと呼ばれる、湿気によってコート剤の白濁が起こる現象があります。それを防止する為のリターダー(白濁防止剤)という物があるのですが、私はこのアンダーコートの工程では使用していません。
ゼムクリップはルアーのアイに引っ掛け、ハンガーのように使用します。ディッピングを行う際や乾燥させる時にもスムーズに作業できるので準備しておくのがおすすめ。
綿棒はアイに溜まったコーティング剤を拭き取るための物です。
また『乾燥させる場所』というのは風通しが良い日陰に乾燥ブース的なモノ、ルアーを引っ掛けておく事ができる物干し竿のようなモノ、それとコーティング剤が滴り落ちても大丈夫なように養生をしておく事が必要という事。
私の場合は塗装の際にも使用する塗装ブースの中に、ゼムクリップを掛けれるワイヤーを仕込んだメッシュバスケットを置き、乾燥ブースとして使用しています。後の項にて画像もありますのでご参考に。
次に道具類として最も重要な保護具類についてもご紹介します。
有機溶剤を使用しますので保護具の着用は徹底してください。
ルアーをセルロースセメントにドブ漬けする方法・作業手順
1回目のドブ漬け
前述したとおり「木材にセルロースセメントを浸み込ませる」事を目的としたアンダーコートな訳ですが、特にこの1回目のドブ漬けこそが正にこの作業となります。
漬け込むと溶剤の浸透により木材内部の空気が押し出され、気泡が発生します。私はこの気泡が発生しなくなる程度の時間、ディッピングを行っています。
そして取り出した後に乾燥。
私の使用しているセルロースセメントには『乾燥:約10時間』と明記されています。
しかしうすめ液にて希釈している為、もっと早く乾燥すると思われます。ですが木材内部まで浸透している、この事も勘案し、1回目のドブ漬けに関しては10時間以上の乾燥時間をとっています。
2回目以降のドブ漬け
2回目以降のディッピングはトップコートと同じように、ゆっくりとセルロースセメントに漬け込み、全体が浸かったら漬け込む時間は取らず即座に、またゆっくりと、慎重に引き上げる、そして乾燥。
この作業を上下を反転させながら複数回行います。
この作業の途中で木材の表面に気泡が残ってしまう事がまれにあるのですが、無理につぶしたりはせず、一度乾燥させ、1000番程度のサンドペーパーで研磨し、次のディッピングを行えば問題ありません。また前述した「ゆっくりと、慎重に引き上げる」のはこの気泡が発生するのを防ぐ為です。
そして回数については何回、と決めている訳ではなく、私の場合はモノによって異なります。
目安として、木材全体に光沢が出て、表面に薄い被膜が確認出来たら終了、と考えています。
最終コーティングが終わったら充分に硬化時間をとり、アイのコーティング剤をカッターを使用し剥ぎ取る事も忘れずに。
ハンドメイドルアーの下地処理、セルロースセメントにドブ漬け、さいごに
今回はハンドメイドルアーの下地処理の工程、セルロースセメントにドブ漬けする方法について、お話しさせていただきました。
もしこの工程にてお悩みであればご参考に!
あなたの素晴らしいハンドメイドルアーライフを願っております。
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