アッー!塗装が流れた…
この色流れってなんとかならないの?
この点についてお悩みなのでしょうか?お世話になっております、みこりおです。
楽しい塗装作業を終え、自作ルアーの完成が見え「さあ、いよいよ最終工程、トップコートだ!」…
意気揚々と臨んでいた矢先のトラブル、なんとも切ないモノでしょう。
ルアーの塗装がトップコーティングの際に流れてしまう「色流れ」ですが、コレを防ぐ方法があり、対策が可能です。
ハンドメイドルアー製作、またはルアーの修理やリメイクなど、初心者の方はご存知ないかもしれません。
なのでこの記事では、ルアーの塗装が流れる「色流れ」
色流れを起こす原因
その対策「色止め」をする5つの方法
使用する材料、手順
これらについてをお伝えします。
私もかつては何度も失敗し、悩み、様々な方法を試みてきました。
こういう失敗が続き「ハンドメイドルアー製作なんてもう嫌だ…」なんて思ってほしくありません。
自身の理想とするモノを作りあげ「ルアー作るのって楽しい!」そう感じていただきたいと思い、記します。
なお、この記事は塗装やトップコーティングに関する話です。
作業する際には、有機溶剤の蒸気や塗装粉塵、液体粒子が発生しますので相応の保護具が必要!
また塗装ブースを使用するなど、換気も十分におこなってください。
保護具については、
▼こちらの記事をご参考に▼
ルアー塗装の「色流れ」その原因
「色流れ」というのが正しい名称なのか、というのはイマイチわかりませんが、良く見かける言葉ですし、意味は伝わると思いますのでこの名称でお伝えします。
塗装の工程で色付けを行ったルアーが、塗装工程にて、もしくはトップコート工程にて色・塗料が流れてしまうトラブルが「色流れ」。
トップコーティング作業中のトラブル、としてフォーカスされる事が多いですが、実は塗装の際にも起こる現象。
色を塗り重ねる際に一度に塗りすぎてしまう、吹きすぎてしまうと起こります。
そもそも「コート剤」とハンドメイドルアー製作においては表現したりしますが、トップコート剤としてメジャーなセルロースセメント(ニトロセルロースラッカー)は塗料の1種です。
今回はハンドメイドルアーに関しての記事ですので、塗装工程とトップコート工程とを分けて考え「トップコート剤」と記述します。
そしてこの色が流れてしまうのには当然、理由があります、なのでその対策を行えばこのトラブルに悩まされる事はなくなる訳です。
塗装の「色流れ」その原因、具体例、材料類の特徴・性質
あまり樹脂や有機溶剤について、の詳しい話をすると記事が長くなってしまいますし、本来の趣旨から外れてしまいそうですので、簡単にご説明させていただきます。
「塗料」には合成樹脂やニトロセルロース、染料などが含まれており、またそれらを有機溶剤で溶解させ希釈し液体状にした状態で使用します。
そして塗布した後、乾燥。すると有機溶剤が揮発し、合成樹脂やニトロセルロース、染料などが残り、被塗装体が着色される、こんなカンジ。
イメージはつかめるでしょうか?
またニトロセルロースは熱可塑性樹脂であり、常温で硬化(個体になる)、熱を加えると柔らかい樹脂に戻り、また対応する有機溶剤にて溶解できる性質を持っています。
加えて肉眼ではわかりませんが、繊維です。
そしてセルロースセメント(ニトロセルロースラッカー)は主成分がニトロセルロース、その他充填剤や可塑剤などを添加、そして芳香族炭化水素系の有機溶剤・いわゆるラッカーシンナーにて希釈されたモノ。
芳香族炭化水素系の溶剤というのは聞きなじみがありそうなモノであれば、トルエンやベンゼンなど。
最近では環境や人体への影響に考慮したノントルエンタイプが主流なので、別種の有機溶剤かもしれません。
製品の成分表示に「有機溶剤」とは記されているのですが、詳しい種類までは記載されていないのです。
ちなみにラッカーはニトロセルロースラッカーなどの塗料の総称。シンナーとはラッカーや塗料のうすめ液の総称です。
塗装の「色流れ」その原因、具体例
熱可塑性樹脂であるニトロセルロースを含んだ塗料にて塗装をし、その上からニトロセルロースを溶解・希釈するための有機溶剤を含んだトップコート剤・セルロースセメントでドブ漬けを行うと…
ドブ漬けの際に余分なコーティング剤、が流れ落ちていくのは簡単に想像できるでしょう。
その最中、当然に塗装面に残っていたニトロセルロースは溶解、溶けだします。繊維、が浮き上がり流れていく事になります。
すると被塗装体に残っていたその他の合成樹脂や染料も引っ張っていってしまう、一緒に流れてしまう…これがいわゆる「色流れ」そして原因なのです。
なんとなくでもご理解いただけたでしょうか?
かなり端折って、簡単にご説明させていただきましたが、有機溶剤や樹脂などを扱う方、それに伴う仕事を行う方、でなければわかりにくいかもしれません。
『まあ、そういうモノなんだな~』と思っていただければ十分です。
ちなみにウレタン系のトップコート剤もセルロースセメントほど、ではありませんが色流れを起こしますよね?
ウレタン系のトップコート剤にも何かしらの有機溶剤が含まれており、同じような事が起こっていると思われます。
有機溶剤の種類が判別できないのでハッキリとは言えませんが、塗料に含まれるニトロセルロースやその他が溶解、もしくは膨潤し「トップコート剤と共に流れてしまっている」のは間違いありません。
ルアー塗装の「色流れ」その対策「色止め」
ここからは具体的な対策、私が実践した事がある5つの色止めの方法をご紹介しましょう。
補足として、私は塗装後にクリア・透明な塗料を吹いています。
塗装の仕上がりを美しくするメリットもありますし、もし色流れを起こしても、最悪クリア塗装の層が流れる、という保険的な意味合いでもあるのです。
このクリア塗装の後、これらの方法を実践するのが良いと思います。
ルアーの色止めのためにスティックノリ
既にお持ちではないでしょうか?ご自宅を探せば見つかるかもしれません。
スティックノリが色止めがに使えます。この方法は有機溶剤で溶解しない層を加え、色流れを防ぐ、という方法。
塗装、乾燥後にスティックノリを塗り、乾燥。その後にトップコーティングを行う、という訳です。
乾燥すると透明化するスティックノリを使用すれば、塗装色に影響しないので良いでしょう。
ただし均一に、綺麗に塗る、というのは難しいです。そこまで神経質に行う必要はありませんが、この点がイマイチ…
ルアーの色止めに木工用ボンド
これもDIYなどを行う方であればお持ちかもしれません、木工用ボンドを使用する方法。
上記のスティックノリと同じく、有機溶剤で溶解しない層を加え、色流れを防ぐ、という訳です。
手順はスティックノリと同じ、木工用ボンドも乾燥すれば透明になるので、塗装色に影響を及ぼすことはありません。
この方法は凹凸ができる可能性があり、薄く均一に塗りたいのですが、それが難しい…これが難点。
ゼムクリップや爪楊枝を使用し、丁寧に作業をすれば可能ですが、結構めんどくさいです。
ルアーの色止めに水性ニススプレー
本来は水彩画などを描いた後に吹き付け、絵の具にツヤを出すためのモノ。
上述した2つの方法と同じく有機溶剤で溶解しない層を加え、色流れを防ぐ、という方法です。
スプレータイプなのでスティックノリや木工用ボンドよりもかなり簡単、に作業できるのがメリット。
全体に薄く吹き付け20分程度、乾燥。再度吹き付けまた乾燥、という手順を2~3回程度行うのが良いでしょう。
ルアーの色止めに専用スプレー
ルアーの塗装における色流れ、にお悩みの方であれば「砂吹き」という言葉を目にしたり、耳にした事があるのではないでしょうか?
セルロースセメントを希釈し、塗装の際よりも距離を置いて吹き付ける、これを10回程度行い、本吹き(濡れ吹き)、そしてどぶ漬けを行います。
この本吹きの前の作業が「砂吹き」。
被塗装体と離して吹く事で砂状に塗布、そして距離があり、かつ希釈したセルロースセメントを利用するため乾燥が速く、塗装面に付着する際には既に有機溶剤がほぼ揮発している事になります。
ゆえに色流れを起こさずにニトロセルロースを塗装面の上に積層でき、その後の本吹き、どぶ漬けを行っても流れるのは砂吹きした層、や本吹きした層。
つまり塗装面が侵されず、色流れを起こさない、という訳です。
希釈ってどうやって??
エアブラシ持ってないし…
こういう方もいらっしゃるでしょう。そんな方でも簡単に砂吹きを行えるスプレータイプ、のセルロースセメントが販売されています。
(前略)
色流れする時やコーティングにより対象物にチヂミやワレが発生する時に、試してください。一度に厚塗せず、薄い塗膜を何度にも分けて仕上げるのがコツです。
(後略)
出典:ACCEL
メーカー自体もこうアナウンスしています。
注意点として、ACCELというメーカーの販売しているモノなので、トップコート剤にACCELのセルロースセメントを使用してください。
『他のメーカーのコーティング剤には使用できない』などのアナウンスはありませんが、他社製品に使用すればどんなトラブルが起こるかわかりません。
またウレタンにてトップコーティングを行う際、ACCELは数種類の製品をラインナップしていますので、同じシリーズのスプレータイプを使用しましょう。
これも思わぬトラブルを避けるためです。
※コチラは⇓ウレタンコート用⇓になります。セルロースセメント用は上記のモノです。
そもそも色流れしないコーテイング剤を使用する
そもそも有機溶剤を含まない、色流れを起こさない、トップコート剤でコーティングを行う、という方法もあります。
2液性のエポキシコーティング剤を用いれば、色流れなど気にせずにトップコーティングがおこなえますし、おすすめです。
方法はハンドメイドルアーの最終工程トップコート、エポキシの筆塗りをおすすめ、という記事にてご紹介しています。
他にもいくつか種類があるのですが、私は使用した事がないので、今回は割愛させていただきます。
ルアーの色止め、5つの方法、色流れにさよならを…さいごに
色止めの方法、についていくつかの方法をご紹介させていただきましたが「これらを実践したから絶対に大丈夫」という訳ではありません。
しかし私が今までに試し、比較的うまくいった方法ばかり、ですので参考にはなるかと思います。
様々な方法を試し、試行錯誤してみてください。それもハンドメイドルアー製作の楽しみ方、だと思います。
もしかしたらもっと良い方法、が見つかるかもしれません。
あなたのハンドメイドルアー製作の一助になれば幸いです。
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